排泄機能指導士について

排尿自立指導料と排泄機能指導士

後藤百万(認定NPO愛知排泄ケア研究会理事長)

  平成28年4月から健康保険の診療報酬改訂で、カテーテル留置中の入院中患者さんで、カテーテル抜去に関連した排尿ケアを行うことにより「排尿自立指導料」が算定できるようになりました。尿道カテーテル留置やおむつ使用などに関する不適切な排尿ケアは病院で始まることが多く、今回排尿ケアに関する診療報酬が初めて認定されたことは画期的なことです。
  排尿自立指導料を算定するためには、厚労省の認める一定の研修を受けた看護師が各施設で排尿ケアチームを立ち上げる必要があります。私たち認定NPO愛知排泄ケア研究会が平成14年から行っている「排泄機能指導士養成講座」が厚労省から排尿自立指導料算定のために看護師が受講すべき研修として認められました。ただ、排泄機能指導士養成講座のみでは不十分であり、さらに8時間の追加講習を作成するように求められ、「下部尿路機能障害の排尿自立支援指導講習」プログラムを策定し年に1回行います。つまり、自分の施設(病院)で「排尿自立指導料」を算定する場合には、所定の研修を受けた看護師、常勤の理学療法士、下部尿路機能障害の治療経験のある医師からなる排尿ケアチームを立ち上げて各地区の厚生局に申請します。愛知排泄ケア研究会の「排泄機能指導士」の認定を受けており、さらに同研究会の行う「下部尿路機能障害の排尿自立支援指導講習」の受講証があれば、一定の研修を受けた看護師として排尿ケアチームを構成することができます。
   今回、「排泄機能指導士養成講座」と「下部尿路機能障害の排尿自立支援指導講習」がこのような研修として厚労省から承認されたことは、本研究会にとっても画期的なことです。今後は、このような排尿ケアに関する診療報酬が病院のみならず、老人施設や在宅まで承認され、看護師のみならず介護系についても「排泄機能指導士」の資格が承認されればと思いますし、そのような努力を続けたいと思います。

参考
排尿自立指導料算定に関する疑義解釈資料(その1)事務連絡(平成28年3月31日)
【排尿自立指導料】
(問97)区分番号「B005-9」排尿自立指導料の医師及び看護師の要件である研修の内容が施設基準通知に示されているが、具体的にはどのような研修があるのか。
(答)現時点では、以下のいずれかの研修である。医師については、日本慢性期医療協会「排尿機能回復のための治療とケア講座」、看護師については、
@日本看護協会認定看護師教育課程「皮膚・排泄ケア」の研修
A日本創傷・オストミー・失禁管理学会、日本老年泌尿器科学会、日本排尿機能学会「下部尿路症状の排尿ケア講習会」
B日本慢性期医療協会「排尿機能回復のための治療とケア講座」
なお、特定非営利活動法人日本コンチネンス協会が行っている「コンチネンス中級セミナー」及び認定特定非営利法人愛知排泄ケア研究会が行っている「排泄機能指導士養成講座」は、排尿自立指導料にある所定の研修の内容としては不十分であり、所定の研修とは認められないが、「コンチネンス中級セミナー」と併せて、「コンチネンス中級セミナー追加研修」を修了した場合又は「排泄機能指導士養成講座」と併せて「下部尿路機能障害の排尿自立支援指導講習」を修了した場合には、必要な研修内容を満たすものとなるため、排尿自立指導料にある所定の研修とみなすことができる。

排泄機能指導士について 排泄機能指導士について 排尿自立指導料と排泄機能指導士 体験談 学会発表 第7回排泄ケア・排泄機能指導研究会
入会のお申し込みはこちら 名古屋大学医学部附属病院泌尿器科 名古屋大学排泄情報センター